子どもからのプレゼント

私自身、子どもの笑顔に何度救われる事があったか、数えきれません。

子どもの笑顔に親がほほ笑む。

そんな当たり前の事を永遠にサポートしたいと考えた事が、私が本気で子どもの矯正に取り組むきっかけでした。

実は子どもは、私たちが想像している以上に大人な考え方を持っています。
友だちとの間で自分と他の子どもとの『差』が何かを感じ取っているのです。
キレイな歯並びは子どもが自信を持って他の子どもと接する強い心をサポートします。
「まさか子どもが」と思われる方も多い事でしょう。
しかし、私にはこの事実を実感する『経験』があります。
インビザライン導入前の話ですが、ご紹介させていただきます。

それは、夏が終わりに近づいていることを、子どもたちの日焼けした肌で実感していたある日の事でした。
賑やかだった一日の診療を終えて、カルテの整理をしている遅い時間に、受付の前に見た事のある女性が一人立っていました。
それは矯正で通う8歳の女の子のお母さんでした。

『どうかされましたか?』

お母さんの静かな表情に不安になりながら話しかけました。
語られた言葉は私にとっても、とても苦しい真実でした。
わずか8歳の女の子にガンが告知された事、そして放射線療法を始めた事。
そして、そんな大変な病気と闘っている子どもが矯正治療を楽しみにしている事、今でも矯正装置を付け続けている事。

常識的に考えれば、ガン治療中に矯正の事を考える事など想像もできません。
それは8歳の女の子がキレイな歯並びを手に入れたい、という強い意志を持っているからに他なりません。
「また元気になって、ここに来る日を楽しみにしている」との、お母さんの祈りにも似た言葉は忘れる事ができません。
スタッフみんなで千羽鶴を折りました。
なんとか生きて欲しいと願いながら一生懸命折りました。
今も笑顔で診療室に入ってくる日を心から願い待ち続けています。

私は自分なりに考えました。
『私が今、すべき事が何なのか』ということを。
そして、それは子どもたちが本当に願う『キレイな歯並び』を応援する事だ、との考えに至りました。

子どもは、私たち大人が考えている以上に自分の容姿に対して強い意志を持っています。
私にも2人の子どもがいるから理解できるのですが、子どもを育てるためには大変、手もお金もかかります。
だからこそ、歯の専門家として、子どもを持つ親の仲間として、どのタイミングで治療を開始すれば子どもを応援する事ができ、かつ親の負担が少なくなるのか、を考えました。

この後、矯正の方法も変わり、治療の内容も歯並びはもちろん他にも大切なことがあることを学びました。
いつも私が考えていることは、子どもたちのために何が出来るか、です。